オニヒトデ大量発生の原因と対策
オニヒトデは棘皮(きょくひ)動物門ヒトデ綱オニヒトデ科に属する動物で、サンゴ礁に生息し、成体がサンゴの軟らかいポリプを溶かして食べて枯死させることで有名です。
一時期このオニヒトデが大量発生したことで、オーストラリア、ミクロネシア、沖縄のサンゴ群衆が壊滅的な被害を受けました。
サンゴの食害問題としてメディアでさかんに取り上げられ、その名が知らしめる結果となりました。
本来有害ではない
オニヒトデは本来有害な動物ではありません。
というのもオニヒトデが好んで食べるのはあくまで成長の早いミドリイシ類やコモンサンゴ類であり、通常の生息数ならむしろサンゴ礁の多様性を維持する役目を負っていると考えられているからです。
ミドリイシやコモンサンゴは食べられてもまたすぐに増えるので、オニヒトデのせいでサンゴが壊滅になんてことはならないのです。
しかしオニヒトデが大量発生することで、ミドリイシ類やコモンサンゴ類を食べ尽くし、成長の遅いサンゴまで食べるようになると、サンゴ礁環境の保全上有害な動物とみなされるのです。
大量発生の原因
オニヒトデ大量発生の原因としては諸説あります。主に挙げられるのは以下の3つです。
- 人的要因による環境汚染や気候変動。
- 周期的な自然発生。
- 富栄養化によるもの。
今有力とされているのは3つめです。
富栄養化というのは、人間活動の影響(下水・農牧業・工業排水など)による水中の肥料分(窒素化合物やリンなど)の濃度上昇のことです。
これがオニヒトデの幼生の餌である植物プランクトンが増殖させ、大発生に繋がっていると見られているのです。
対策
応急処置としては、オニヒトデの駆除が挙げられますが、根本的な解決にはなりません。広い海全てのオニヒトデを処分するのは難しいでしょう。
ボランティアも有力ですが、場所によっては専門のダイバーを雇う必要もあり、人件費がかかります。
やはりオニヒトデ大老発生の原因が生活排水によるものならば、浄化施設の普及がなによりの課題といえるでしょう。
オニヒトデが大量発生しやすい地域を観測し、工場や家庭からの下水設備を整え、富栄養化を抑えることが重要です。