サンゴ礁の沈降説とは何か?簡単に解説
サンゴにも色々な種類がいますが、サンゴ礁を形成するタイプのサンゴは造礁サンゴといいます。造礁サンゴは体内で褐虫藻という単細胞藻類と共生しており、褐虫藻の光合成産物を取入れることで、生命活動に必要なエネルギーの大部分を補っています。
造礁サンゴは海水中のカルシウムを固着させ石灰質を自身の下に次々積み重ねていく性質があります。サンゴ礁とは、サンゴ群衆が石灰質を積み重ねることで形成された地形のことです。
造礁サンゴは、温暖かつ清浄で、日光が届きやすい浅海でしか生育できないので、水質汚染が進んだ場所や、深海、寒冷地などでサンゴ礁は形成されません。
サンゴ礁は形態を変える
【サンゴ礁の地形の種類とは?3タイプの形状特徴】にて、サンゴ礁というのは発達段階において3タイプの形態的特徴に分けられると紹介しました。
この形成と発達の要因を、島の沈降によって説明する説を沈降説といいます。沈降説では沈降の進行にともない裾礁⇒堡礁⇒環礁と形態変化するとしています。
沈降説の根拠
沈降説はダーウィンが唱えた説として有名です。簡単に解説すれば沈降説の根拠は以下のようなものとなります。
- 火山島が沈降するにつれ、島の海岸に接するように形成された初期サンゴ礁も沈降していく。
- サンゴは太陽光がないと生育できないので、日光を目指して上へ上へと成長していく。
- 2の過程において裾礁・堡礁・環礁の3段階の形態的特徴が生まれる。
一応今のところはこの沈降説が最も有力とされています。近年サンゴ礁のボーリング調査が行なわれ、環礁では場所によっては1000m以上も堆積しており、その年代は5000万年もさかのぼることがわかりました。この調査結果が沈降説の説得力を強化したのです。
沈降説が全てではない
ただし環礁は島の沈降が確認できない場所にも存在し、沈降説だけで全ては説明できません。そこでもう一つ環礁の形成要因としてあげられるのが以下の氷河制約説です。
- 氷河期に海水面が減少して、露出する。
- 露出したサンゴが侵食され、場合によっては島も削られる。
- 氷河期が終わり海水面が上昇する。
- 外洋側のサンゴは上に向かって伸びる。
- 真ん中に十分な島が残っていれば堡礁になり、残っていなければ環礁になる。
陸地が沈まずとも、海面が上がれば日光は遠ざかりますから、サンゴは上へと成長せざるえません。結果的に島が沈降した場合と同じ形態変化を遂げていくのです。