サンゴの化石から古代地層の堆積環境がわかる理由は?
サンゴの化石は「示相化石」として地質学で重宝されます。示相化石というのは、それを含む地層の堆積環境を推定できるような化石のことです。
褐虫藻を共生させ光合成を行うタイプの造礁性サンゴは、生育できる環境に大きな制約があります。大体以下の条件がそろっていないと満足に成長することができません。
- 十分な日射量がある水域
- 光が届く浅海
- 年間通し安定した水温(20〜30℃くらい)
- 澄んだ海水
- 塩分濃度30〜40パーミル程度
したがって、ある古代の地層から造礁性サンゴの化石が見つかった場合、その層が堆積した当時の環境は上記のような環境だったと推測できるのです。
実際の研究ではサンゴの種類も考慮
示相化石から当時の堆積環境を答えさせる問題は中学理科の問題としてよく出題されます。その際は、上のように詳細に書く必要はおそらくなく、「暖かくて澄んだ海」くらいの回答で十分だと思います。
しかしサンゴには寒流域に生息するもの、深海に生息するものなどもいますので、実際の研究ではサンゴの種類まで断定した上で判断します。