海の酸性化でサンゴ礁の白化が進む?
「地球温暖化で海水温が上昇し、環境ストレスによりサンゴの白化が進んでいる」という話はわりと知られている話ですが、温暖化によりサンゴが受けるダメージは高水温によるものだけではありません。温暖化による「海洋酸性化」と呼ばれる現象も同じくらい深刻な問題です。
海洋酸性化とは
地球温暖化で大気中に二酸化炭素が増えると、海洋に溶け込む二酸化炭素も増えます。すなわち海のアルカリ性が弱まり酸性化が進むことになります。
サンゴの骨格の主成分は炭酸カルシウムなので酸性に弱いです。海が酸性化するということは、その骨格を作りにくくなるということを意味します。
サンゴ礁というのはサンゴの骨格が積み重なることで形成された地形なわけですから、海の酸性化はサンゴ礁が縮小してしまうことも意味します。
サンゴ礁が縮小すると・・・?
サンゴ礁は小型生物の絶好の隠れ家でもあり、大型生物にとっては豊富な餌が手に入る食料庫でもあります。
サンゴ礁は海洋全体の1%程度を占めるに過ぎませんが、そのわずかなサンゴ礁に全海洋生物の25%が依存して暮らしているのです。
サンゴ礁は多種多様な生物を支える生物多様性の要であり、それがわずかでも損なわれるということは生態系が大打撃を受けるということを意味します。
海洋酸性化の対策
もちろん根本的な解決は温暖化に歯止めをかけることです。しかし人間が産業活動をやめない限り二酸化炭素の排出を完全に断つのは不可能です。CO2削減策を考えるのと同時に、別の策も考えていく必要があります。
そのうちの1つがサンゴの養殖です。中には酸性化に強いサンゴもいることがわかっており、加速する白化減少の対策の1つとして、「酸性化に強く骨格を作りやすいサンゴ」を養殖で増やすということが検討されています。