サンゴと相利共生関係にある褐虫藻とは?白化との関係とは?

サンゴと相利共生関係にある褐虫藻とは?白化との関係とは?

サンゴ礁はサンゴの石灰質の骨格が積み重なることにより形成された地形です。サンゴ礁がつくる複雑な地形は、多種多様な生物の、隠れ家にも、繁殖の場にも、索餌の場にもなっており、生物多様性を保つ重要な役割を担っています。

 

しかしサンゴにも色々な種類がいて、全ての種がサンゴ礁の形成に関係しているわけではありません。サンゴ礁を形成するのは体内に褐虫藻(かっちゅうそう)と呼ばれる藻類を共生させている造礁サンゴと呼ばれる種です。

 

骨格形成に必要なエネルギーは、主に褐虫藻による光合成エネルギーから得ています。つまりサンゴ礁は元をたどれば褐虫藻のおかげで形成されているものなのです。今回はその褐虫藻について詳しく紹介していきます。

 

褐虫藻とは

褐虫藻はとは渦鞭毛藻(うずべんもうそう)類の単細胞藻類の総称です。約10マイクロメートルほどの大きさで、基本的な体色は褐色。

 

サンゴを始めとした、クラゲ、イソギンチャク、シャコ貝など、海産無脊椎動物の細胞内に共生して光合成を行ない、余った光合成産物を宿主に供給します。

 

共生状態では球形をしていますが、宿主から分離した際は、卵形に変化して鞭毛を使って泳ぐことが確認されています。

 

褐虫藻が排出される理由

サンゴはなんらかのストレスにさらされると体内から褐虫藻を放出し白化することで知られます。そのストレス要因として近年よく挙げられるのは温暖化です。褐虫藻は、生育に適さない高水温にさらされると、光合成回路が狂い、サンゴの細胞を傷つける活性酸素を生成し始めます。

 

こうなると、もはや褐虫藻は有害なものになってしまうので、サンゴは応急処置として褐虫藻を放出するしかないのです。しかし生育の為には褐虫藻が必要なので、状況が改善しないままだと、サンゴは白化したまま死んでしまいます。

 

元々の造礁サンゴが褐色に見えるのは、半透明の共肉部から褐虫藻の色が透けて見えている為です。しかし褐虫藻が放出(もしくは褐虫藻の持つクロロフィル量が減少)されれば、共肉部が無色化し、その骨格が透けて見えます。この状態を白化というのです。

 

造礁サンゴのエネルギー源

造礁サンゴは、褐虫藻の光合成産物から栄養を得ていますが、同時に自分でも触手を使って動物プランクトンを捕食し栄養を得ています。褐虫藻がいなくなってもすぐに死ぬわけではないのはこのためです。

 

褐虫藻の光合成が、宿主のサンゴの栄養供給にどれだけ貢献しているかは明確になっていませんが、褐虫藻なしで生き続けることは困難なことから、かなり大きな割合を占めていることは確かです。

 

褐虫藻が共生する生物

褐虫藻が共生するのは、造礁サンゴ以外では、サカサクラゲ、タコクラゲ、イソギンチャクの一部、シャコ貝、リュウキュウアオイガイ、ウミウシのごく一部などが挙げられます。

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