サンゴにまつわる沖縄の方言
沖縄本島特有の言葉に、「うちなーぐち」「沖縄語」「しまくとぅば」と呼ばれるものがあります。いわば沖縄の方言ですね。
現代の生活の中で使われることはほとんどなく、意味を理解できない世代が増えていますが、近年は沖縄県民のアイデンティティとしてSNSやブログを駆使し、積極的に広めていこうという流れになっています。
そこで今回は沖縄の重要な観光資源でもあり、海産資源でもあるサンゴにまつわる方言を紹介したいと思います。
サンゴの方言
沖縄方言でサンゴのことは「ウル」「ウール」と呼びます。またサンゴの形状によっても呼び名に違いがあります。
サンゴの形状による呼称の違い
うるまの島
島のことは「マ」と呼ばれることから、沖縄県は「サンゴ(ウル)がたくさんある島(マ)」として「うるまの島」とも呼ばれています。
サンゴ礁の方言
サンゴ礁に囲まれたおだやかな浅い海、つまり「礁池」のことは「イノー」と呼ばれています。イノーは昔から「海の畑」ともいわれ、様々な海産資源の宝庫として大切にされてきました。
ちなみに「あおさ」や「あおのり」の原料になる海藻「ヒトエグサ」は、イノーで豊富に採れます。ヒトエグサは沖縄方言で「アーサ」と呼ばれ、それを採るおばちゃんたちの様子は沖縄の風物詩でもありました。
サンゴ礁の地形による呼称の違い
いかがでしたでしょうか。サンゴにまつわる様々な方言があるとわかっていただけたと思います。
戦前は日本政府の皇民化教育の下うちなーぐちを使うことを制限され、戦後も「標準語励行運動」が実施されたことで、うちなーぐち離れがどんどん進行しました。
しかし近年は、2006年に9月18日を「しまくとぅば(島言葉)の日」を制定、2013年に「しまくとぅば普及推進計画」を策定するなど、「うちなーぐち」「しまくとぅば」を保護・普及する政策に力を入れ出しています。
その土地特有の言葉や文化というものは、守っていこうという意思がなければ、みるみる衰退していきますからね。是非こうした関係者各位の努力が実って素晴らしい「うちなーぐち」が次世代に継承されて欲しいと思います。