サンゴは植物・動物どちらに分類される?

サンゴは植物・動物どちらに分類される?

サンゴというのは樹木のように枝分かれしていて、一見すると動きもないので植物のような印象を受けます。しかしサンゴ(珊瑚)は、クラゲやイソギンチャクが属する刺胞動物門のれっきとした動物です。

 

ポリプと呼ばれる本体と、石灰質でなる堅い骨格からなっており、普通の動物と同じように摂食・排泄・産卵も行います。肉食かつ、植物のように受動的に栄養を取入れるのではなく、触手を使って能動的にプランクトンなどの獲物を狙って捕食します。

 

光合成をするのに動物なの?

サンゴ植物説の見解を強化してきたのは、サンゴが動物にもかかわらず、植物のように光合成をしてエネルギーを得ているという事実からです。浅海に棲む造礁性サンゴは、太陽光から遮断された場所では生きていけません。

 

しかし研究が進むにつれ、光合成をしているのはサンゴではなく、サンゴの体内で共生している褐虫藻と呼ばれる植物プランクトンがであることがわかりました。サンゴが得ているエネルギーは、褐虫藻から供給されたものだったのです。

 

古来植物だと考えられてきた

サンゴ動物説が常識となったのはわりと最近の話です。近世の18世紀頃まで、著名な生物学者の間でも、サンゴは「変わった形をした海藻の仲間である」との認識だったのです。

 

フランスのマルシリ伯(1658―1730)は、サンゴに咲く花を発見し、「サンゴはまさしく植物である」と発表しています。この発表は「サンゴ植物説」をより強化しました。

 

しかし同じくフランス・マルセイユ出身でサンゴの研究を続けていたペイソネルは、花と称していたものはイソギンチャクに似た小動物の体であると見解を出します。サンゴ動物説はこのペイソネルにより動いていくことになります。

 

サンゴ動物説の出現

1725年、ペイソネルはサンゴの観察の中で、サンゴは触手を能動的に動かすことを発見し、マルシリ伯の見解と異なる「サンゴは動物である」という見解を出しました。

 

ペイソネルの見解はしばらく殆どの学者に受け入れられませんでしたが、1753年彼の論文の英訳がロンドンの王立協会から発表されたことで、その説得力の高さが初めて認められました。

 

この論文の発表により、サンゴは動物であるということが一般に認められ、サンゴの小個体をポリプと名付けられ、ポリプの生産した骨軸がサンゴと呼ばれることになったのです。

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