サンゴの進化の歴史

サンゴの進化の歴史

刺胞動物サンゴの、古生代から現代までの進化の歴史をまとめています。

 

古生代

古生代の時点ですでに藻類と共生し、光合成産物からエネルギーを得る造礁サンゴがいたと考えられます。ただこの時代に繁栄した床板サンゴ、四射サンゴはすでに絶滅しており、現生のサンゴとは異なります。

 

◆カンブリア紀(約5億4200万年前〜約4億8830万年前)
「カンブリア大爆発」と呼ばれる爆発的に動物が増加する現象の中で、希少種ではあったものの、「サンゴ」も初めて出現することとなります。

 

◆オルドビス記(約4億8830万年前〜約4億4370万年前)
サンゴが生息域を拡大し始めた時代です。床板サンゴ、四射サンゴ、六射サンゴが出現し、サンゴ礁を形成し始めました。

 

◆シルル紀(約4億4370万年前〜約4億1600万年前)
サンゴ礁が陸を縁取り、周辺に腕足類やウミユリなどの生物が繁栄します。また中期よりの環境変化により床板サンゴが淘汰され始めます。ちなみに日本で最初に発見されたサンゴの化石はシルル紀のサンゴです。

 

◆ペルム紀(約2億9900万年前〜約2億5100万年前)
デボン紀より海水面が上昇し始めた影響で、ペルム紀末(P-T境界)に、他の多くの生物と共に浅海性の床板サンゴも絶滅しました。

 

中生代

◆三畳紀(約2億5100万年前〜約1億9960万年前)
初頭に四射サンゴが絶滅します。床板サンゴと四射サンゴが絶滅したことで、その隙間を埋める形で六射サンゴが繁栄します。

 

六射サンゴの化石が少ない理由

六射サンゴは、床板サンゴや四射サンゴより新しい時代を生きているにもかかわらず、化石記録が他の2つより少ないです。
これは床板サンゴや四射サンゴの骨格がカルサイト(方解石)で構成されているのに対し、六射サンゴの骨格はアラゴナイト(霰石)で構成されていることに理由があります。
両者とも成分は炭酸カルシウムで共通ですが、結晶構造が異なります。アラゴナイトはカルサイトよりも不安定で溶解しやすい性質なので、化石として残りにくいのです。
ちなみにアラゴナイトは鍾乳洞の成分でもあり、サンゴ状の鍾乳石を形成します。

 

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